木造建築は職人の手と共に

更新スパンがだいぶ開いてしまいました。久しぶりに富山県の平屋の住宅をピックアップします。(工事はもう終わっちゃんですけど・・・)

木造の家ってなんかいい。

でもいったい何がいいんでしょう?

特に工事中に感じる。

いったいなぜ?

 

その一つが、この規則性のある配置かもしれません。ほら、障子とか細い材木が規則正しく並んでいるデザイン。あれって日本人独特の感性なんじゃないでしょうか。

 



藤田棟梁の作業台もずいぶんおしゃれだ。

ただの合板を加工してもの。すぐに分解できる。普通の大工さんも何かしら同じようなもの車に積んでるけど、ここまで造りこんでる人は見たことがない(笑)

ま、どうでもいいことなんだけど。

現場は整理整頓が基本です。

もちろん土足厳禁。子供だって容赦しない(笑)

 

 

 

これなんだか分ります?

引違い樹脂サッシの動く部分(障子といいます)の枠にあたるところ。もじゃもじゃ毛が生えてますね。

人間の体でも毛が生えているところは重要。そう深い意味があるのです。

サッシって一言でいっても細かい部分にありとあらゆる深い意味と工夫がある。そしてこれからも進化し続けていくんでしょうなぁ。

 

 

 



第2問。

これは何に使われるでしょうか?

ちょっと難しいかな?建築業者でない一般の人でこれが分る人がいたら、そりゃもう相当マニアックな人だってこと。

いいお付き合いが出来そうです(笑)

 

 

 

 



 

これを振りかざしてこんなふうに遊んでいる人もいました(笑)

鬼に金棒ってね(笑)

 

 

 



 

サッシがつくとほぼ家ですね。

 

 

 

 

 



 

これ解体前の同じ位置からのショット。

今はもうない。

だから長持ちする家にしなくちゃならないんだ。

 

 

 



 

家の中では断熱工事が始まりました。

洗面脱衣室です。当然洗面化粧台やらパネルヒーターなどがいずれ設置されます。壁面に取り付けるネジのために、こうしてあらかじめ下地を入れておきます。

 

 



切り取り解体した部分も同時に復旧していきます。ついこのあいだまでこんな感じでした。



 

 

 

 

 

 



 

そして数日後にはこんな風に。

米杉とサワラのコラボレーションです。

ここでまた出てきましたね、木造の特徴である規則性のある配列美。

 

 



いきなりとんじゃって申し訳ないのですが、さらに数日後はこうなってます。

黒い所はしっくい仕上げ。

 

 

 



 

なんだか話があっちこっちになっちゃいましたが、とにかく木造は職人さんたちの手がつくるってこと。1本1本、1塗り1塗り、手に伝わる感触を確かめながら、3次元の空間の中に置いていくってこと。

 

 



お客さんは絶対目にしないようなこんな下駄箱の下とか、「そんなとこ塗んなくていいんじゃない?」ってなところまで。

職人が誇りを持って腕を振るう、規則的に木が並ぶ美しい部分(場面)がある、そんな木造の現場が好きだ。

 

 

 

住みなおす(平屋考)

このプロジェクトは、お隣り金沢市に住むK様(OB客)のご実家の建て替え工事なのです。

今年72歳になるお母さんが一人で暮らしています。築42年、2階建て延べ床面積108坪の住まいは、あまりに広すぎる。そしてあまりに寒すぎる・・・。

あちらこちらに直さなければならない箇所があり、地元の業者さんに見積もりをお願いすると、約2000万円の改修工事費がかかる・・・。

それだったらいっそのこと、「高断熱の平屋に建て替えた方がいいのでは?」ということでご相談をいただきました。

ここで「平屋(ひらや)」について少し掘り下げて考えてみます。

一般的な平屋についての考え方。

・階段を使って2階に行かなくていいので、室内の移動が楽。体への負担が少ない。

・老後の理想的な住まいだ。スローライフって感じ!

・敷地が広くないとだめ。建築費は2階建てより割高になる。

そして更に、少し深い考え方。

・廻りが2階建てばかりなので日差しが遮られ暗くないか?

・廻りの家にとっては我が家の高さが低い方がいいだろうから、お隣にやさしい、ってことに。

・真上の2階から聞こえてくる音がないのでいいよね♪

・すぐ上に屋根があるから夏は熱そう。冬はファンヒーターの温風がトイレや洗面、お風呂などに送られずに寒そう。

・洗濯物をベランダに干せないので下着が盗まれやすいんじゃない?

・見晴らしのいい景色が楽しめない。

さらにさらに建築士的着眼。

・2階建て、3階建てに比べると耐震上有利(当然ですね)。地震の時は揺れが比較的少ない上に、屋外へ脱出する時間が早い(避難経路が短い)。

・2階建ての設計時に細心の注意を払う「1、2階での壁の連続性やバランス」についてあまり神経を使わなくても間取りが成立する。つまり設計の自由度が格段によい。

・ガスコンロや薪ストーブなど火を使う部屋(=火器使用室といいます)には、原則天然木の天井や壁が使えませんが、平屋ならその制限がないのです。

・雨樋の破損修理や外壁や屋根の再塗装の時など、メンテナンスが比較的容易。

・平屋に住みたいというニーズは特に根強く、資産価値が高い。(いざ売る時、買い手がつき易い)

 

そんなわけで「平屋に住みなおす」ということについては全体的にメリットがたくさんあり、「年をとって、子供たちが巣立って、老夫婦だけで住むなら絶対平屋がいい!」は頷けます。まぁ、結局はお金の話になっちゃうケースが多いのですがね・・・。

 



平屋は、どうしても家の中が暗くなりがちです。今回のお宅は片流れの屋根を高さを変えて設け、換気を兼ねた採光窓を高い位置に設けました。

建前後の垂木(たるき)という屋根の下地をつくっています。

 

 



 

このように屋根が昇って行って壁にぶち当たる場合の施工は注意が必要です。雨もりが起きやすい箇所でもあり、断熱の弱点になりやすい。

壁にあらかじめ防水透湿シートを張ってから屋根をぶつけます。

 

 



 

とかく公民館的になってしまう平屋ですが、屋根形状を工夫すると少し面白くなります。

 

 

 

 



 

建て方時に腰を痛めたオニロクこと藤田棟梁も針治療を終え、戻ってきました。

床断熱工事(高性能グラスウール14cm厚)を終え、粗床(あらゆか)合板を張っています。

 

 



 

家の中央部が廊下になる設計です。

吹抜けになっていて高い位置より光が差します。

高所用の窓で開閉をチェーンで行う窓を特注しました。夏には排気用の高窓になります。

 

 

 

 



 

この合板は単に作業性が良くなるばかりではなく、床下からの隙間風や湿気を遮断し、気密を約束する部品でもあります。柱がある部分の欠き込みや合板の継ぎ目にも気密テープを用いてきっちりと。

 

 

 

 

 

 


 

おばあちゃんの家ですが、ゆくゆくはこの孫たちが引き継ぐかもしれませんね。

土台や柱、梁など主要な構造材はすべて長野県木曽のひのきです。

またしてもいい家つくっちゃっています笑

 

 

 

地鎮祭~切り取り解体部復旧

北陸は恐ろしいところです。毎日といっていいほど雨が降り続きます。 解体から基礎工事中、8割がた雨だったような・・・(汗&涙)

 



それでも何とか地鎮祭にこぎつけました。オニロクさんこと藤田棟梁も参列。 この地方は東を向いて行いました。 実はこれ大変珍しいことです。一般的には北を向くんですが・・・。そういえば信仰的な山があるときなんかはそっちに向きますねぇ。

 

 



建築主は真ん中のおばあちゃんです。 数年前に若夫婦のおうちの新築を担当させていただきました。冬でも暖かい室内環境をご評価いただいて、実家の建て替えをお母さんにおすすめいただいた、というわけです。 亡きご主人と子供たちが集った我が家に別れを告げ、心機一転新たな気持ちでお建て替え!

 

 



緊張状態の地鎮祭のさなか、木の葉が舞い込んできました。

正しい姿勢のお客様の方にぴたっ!

はっ!

せ、せみだ!



オニロクさんと目があいました。

うわっ!

鳴くな!

泣いてはならぬ!

泣くな!

男だろおまえっ!

 



ただただ見つめるしかないその横で、四方清めの儀。

切り取り解体したブルーシートが風になびきます。

 

 

 

 



なんとか無事に地鎮祭が終了。

もしかしてあのセミは神の分身だったのかな~

 

 

 

 


 

さっそく地盤の調査です。金沢はジオリサーチの村田さん。愛すべきキャラです。

今回は表面波探査法という調査です。振動する機械を地面に置いて、はねかえって来る振動をキャッチする受信機がコンピューターにつながっています。



 

地面に送られた振動派で土質や硬さ、重さに耐える力までわかっちゃうんだからすごいですね~ほんと。

数日後判定が出てきました。

解体時に荒らされた地表を締固めればOKということです。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

基礎工事と並行して、切り取りした部分の復旧にかかります。

このころから天気がぐっと悪くなりました。そして約10日間ほどずっと雨の日がつづいたのです。

これはもう、大工のオニロクさんが雨男としかいいようがありません。

たまに晴れ間がのぞきますが、すぐに曇天に変わり、またしても雨が、、、。

基礎工事も思うように進まず、1週間ほど工程が遅れています。

そして台風一過。今週からようやく安定した、私が最も好きな季節が今年もやってきました。

今週末行う建て方に参加します!柱や梁、土台はオール木曽ヒノキ! たのしみだわぁ~(^_^)/~

満を持しての解体

「ユっ!雪がふってきたぁ~!!」

富山県の解体現場からの帰り道。上信越自動車道 黒姫・妙高附近で、それはもうたまげました!雪?ヒョウ?とフロントガラスをワイパーON。しかしきれいになりません・・・。



そう、なんとカメムシの大群の中を突っ切ったようです。まるでなにか接着剤のようにガラスにこびりつき、視界もさえぎられるほどの体液!

うわぁ~~~!ひぇ~~~!

と、ワイパーMAX&ウォッシャー液ぶいぶい噴出しましたが、でめですね。この透明な半液体状のねっとりは・・・。瞬間接着剤にも匹敵するほどの速乾性。「カメムシボンド」なんて売り出してもいいかも。いや良くない!彼らは生き物だ!でも嫌いだっ!

 

生き物ネタでアサッテの方に目を向けてみると、先日調査した丸太を積み上げた塀というか柵が、アリさんの被害に。白も黒もね。仲良く共同暮らしをしているっていうか、まぁ、すごい様子を激写しましたので、興味のある方はご覧ください↓(YouTube)

http://www.youtube.com/watch?v=uGAu5Q9bCcI

お食事中の方はくれぐれも見ない方がいいですよ!

 

さてさていよいよ始まった富山県南砺市の住宅建て替え工事です。

以前金沢市で新築させていただいたお客さまのご実家なのです。

一番初めに打合せをしたのが、雪の降る1月。それが今やカメムシが・・・。

設計打ち合わせ期間約半年を経て、ついに解体工事が始まりました。



建物すべてを壊すのではなく、一部を残しながらの切り取り解体工事。

うまく切り離れるでしょうか?

屋根がこっち向いてるところと、あっち向いているところがカットラインです。

 

 


 

この建物は一見木造ですが、重量鉄骨との混構造。鉄骨は解体後も売れるというメリットもありますが、やはり解体工事費用は高くつきます。

やっぱり木造がエエなぁ、としんみりする塩原です。

 

 

 



解体スタートに先だって、そこに暮らしていた建築主さんと、お酒、塩、米でお浄めをしました。

「40年間、私たちを守ってくれてありがとう。御苦労さまでした。」

そんなふうにつぶやきながら。

 

 

 



この欄間(らんま)は解体しない方にあるのですが、それはそれは見事な木工品です。1ピースの木から削り出して製作されています。ここ南砺市には井波(いなみ)という、全国でも抜群の木工文化を継承している地域です。

そんなこともあって、今回の担当大工は伊那市の工房鬼六=藤田さんに来てもらうことになっています。

 



解体直前の写真です。これが見納め。お施主さんは、「解体してるの見ると、涙出てくるから見ない!」といってさっとご帰宅されました。

きっと、ここでのいろいろな思い出があることでしょう。希望を胸に、思い出をそっと仕舞い込む過程、それが解体工事なのかもしれません。

 



解体しやすい。

リサイクルできる素材をできるだけ使う。

風雨に耐えた木の柱や梁は、アリさんに食べてもらって土に還す。

そんなつくりを我々設計士は考える時代だと思います。



雪が降り始めるころ、完成予定です。

基本設計

出会いは数年前に新築をさせていただいた方のご紹介でした。初めてお目に掛かった時、建て替えをすべきか、現状のままである程度のリフォームで済ませてしまうか、いったいどうしたらよいか、だいぶお悩みであったと思います。以下初対面の際にお聞きしたことです。

F様ヒアリング

2013.01.20 14:00-16:00

紹介者・立会者 K様(OB)

預かり品=図面一式(茶封筒入り)

 

■既存専用住宅・倉庫

1、昭和46年新築 木造一部鉄骨造(築42年)~図面あり

2、30年前に一部解体し仏間を含む2階建てを増築

3、建築時期不明だが、敷地東北に2階建て倉庫あり

※敷地建物共、すべて100%F様の所有権

 

■地域特性等

・積雪は50~60cmあるのが、この時期の通例。

・非常に重い雪。湿度が高い

・夏も熱い。湿度が高い。

・地震は少ない

・この土地は昔田んぼだった

 

■居住者情報

・母(S16年生)今年72歳 一人暮らし

 

※長男(43才)京都在住 独身~なかなか帰省できない

※長女     K様の奥様 子供2人

※次男     福井市内在住 既婚 子供3人

 

工事期間中は近くの別宅があるので、一時的に引っ越し

 

■動機

・鉄骨柱脚にサビ

・しろあり発生(一部)

・屋根裏に生物が・・・

これらにより、地元の大工さんより、改修〇〇〇〇万の見積もりが出ている

■全体予算

・全てで2000万以内

・地盤改良必要か?

・解体費

・外構(北フェンス)

 

※瓦屋根2年前に載せ替えした。美品かつ高価な物なら流用か

 

■要望

・残す部分の2階に湯~ガス配管あり。瞬間湯沸かし器

・平屋

・キッチンは当然いる

・新築部に客間は不要

・11/末までに入居 12月は降雪

・分離発注

 



築42年の住宅+築30年の増築部がL字型に配置されています。増築部は、この地方の伝統的なつくりです。

写真は今年2月3日に初めて訪問した写真ですが、この時期にしては大変雪が少ないとのこと。

 

 



雨戸のように見える外壁は、あくまで外壁で、容易に取り換えができるように取り外しが簡単にできるようになっています。雪で家のまわりが埋まってしまうことを想定したつくりです。

 

 

 



この30年前の立派なつくりの方は客間として残し、右側の平屋部分を解体して改築する、という方向で検討しています。

ご紹介していただいたOBのKさんは、当然高断熱の家に住んでいるので、この寒い家に暮らす母親の身体的負担を思いやっての改築相談でした。

 



30年前増築した部分には、この地方の特産である木彫りがランマという形で建物に取り入れられています。1枚板から削り出されるそれはまさに職人技。到底真似ができない代物です。

 

 

 



玄関の式台には、巾90cmほどの1枚板が!

引戸にも一枚板が!

生つばものですが、当然この部分は解体せずに残します。

 

 



建て替え部分のファーストプランです。所有物の多さや要求が盛りだくさんで、けっこうな規模になってしまいました。

わたしの場合、1stプランはおおむねいつもこのような手書きプランです。

 

 



このプランを元に打ち合わせをし、外観イメージをパース化します。概算の見積書も合わせて提出し、現実性を帯びていきます。

 

 


3次元CADのいいところは、こうした図面もあまり時間を掛けなくとも作成できることです。

 

 

 



先日、今秋の完成に向けて設計契約をいただきました。今後改めて基本設計を練り直ししていきます。解体せずに残す部分との意匠的なバランスをどう取っていくかがポイントになっていくと感じています。