おも~い契約

今日は東海地区でご契約手続きをいただきに、雨の高速道路を走りました。

 



築10年のポスト&ビームのご住宅です。屋根と外部木部の塗装の塗り替え、それに腐りつつあるデッキの張替え、さらに、成長したお子さんたちのために間仕切り壁や、机・本棚などを造作するという大規模なリフォームを計画していました。

昨年の今頃です。

 

 



玄関ポーチに屋根を付けると、いくらぐらいかかるの?

だとか、

 

 

 

 



露天の玄関ポーチデッキと階段もそろそろ更新時ですね~、

など、仲良しご夫婦と一緒に調査・ヒアリングを行いました。

昨年の10月です。

 

 



「南側の広いデッキも腐りつつあり、全面的に更新したいと思うけど」、というご質問に対しては、ランバーテック社の30年以上腐らない木のデッキが、材料代は高くつくけど、また10年後に張り替えなくていいので、長い目で見たらお得です!などとお打合せをしました。

昨日のことのようです。

 



駐輪スペースにもやっぱり屋根が欲しいよね、子供たちの為にも、

とか

 

 

 

 



吹き抜けをつぶして、子供部屋とした方が良いのか?

 

 

 

 

 

 

 



吹き抜けに面した、2階のフリースペース(現状は物干しスペースとしている)に間仕切りを設けて部屋っぽくして、子供が成長して家を出た後、また取り外しが出来たりするようなことが、できちゃったりしますか?などなど久しぶりにお目に掛かったこともあって話が弾みました。

 

数日後、見積もりを郵送させていただき、「塩原さん、だいぶ頑張ってくれてありがとう!これで進めたいので、銀行でリフォームローン組んででも今回やっちゃうつもりだけどいい?」

「もちろんいいですよ!来年の春にできるといいですね!」そんなやりとりを電話でさせていただきました。

数週間後、再びご連絡をいただきました。

「塩原さん!銀行の審査、通ったから、近いうちに契約しましょう!」

「良かったですね!呼んでいただければ、いつでも、職場でも伺いますよ。」

「それじゃ、また予定が決まったら電話させてもらいますね!」

昨年のちょうど今頃でした。

仕事が大変にお忙しい中で、電話をいただいた気配がしました。

そしてこの電話が、最後の会話となってしまいました。私の兄と同じくらいの御年でした。

今年の1月、高速道路で深夜3時、交通事故により急逝。

当然、工事はいったん中断です。

奥さまからご一報をいただき、翌日、事故現場を通って、ご自宅へ。

人の生の、あまりのあっけなさに驚き、遺影を見て涙。

奥さまは、さまざまな手続きや整理で、泣く暇もない、と。

「主人がこうなってしまったので、今後家のことは、全面的に塩原さんに面倒みてもらわないと困る!」

と、大変にありがたいのですが・・・・。何とも言えない切ない表情で、奥さまにお願いされました。

「もちろん、力になれることは何でも致します。家のことに限らず、困ったことがあったら、やりきれない気持ちになったら、いつでもご連絡ください。」

「ほんと困った主人!なにもかもやりっぱなしで!いつか再会したらなんて言ってやろうかしら!」

・・・・・・・・・。

お家づくりに携わる関係上、打ち合わせその他は、ご夫婦ご一緒で行います。家族全員と関わりがもてる特殊な職業が設計という仕事でしょう。

時間は等しく過ぎてゆきます。

夏ごろ奥さまからお声掛けいただき、

「このまま放置しても、家は悪くなるだけ。例のリフォーム、そろそろやりましょう。仏壇置き場もつくらなきゃいけないし・・・。」

再び、打ち合わせ再開。奥さまと工事内容を一つ一つ再検討しました。

「仏壇が12月に出来上がるので、なんとか1周忌に間に合うように、年内に工事を済ませたい。仏壇置き場もこの窓の部分を出窓みたいに出っぱらせよう。」ということになり、追加費用を計算していると、奥さんの携帯に電話が。お子さんの通う学校の先生からです。

「〇〇君、熱が急に出て、戻しちゃった。迎えに来れますか?」

そんな連絡がありました。

「今、遠くから打ち合わせに来てもらっているので、終わったら行きます。」

「・・・・・・・・大丈夫ですか?」

「まぁ、大丈夫でしょう。打ち合わせ続けましょ。」

「じゃあ、なるべく手短に。」

 

その10分後でしょうか。再度先生から電話。

「熱がぐんぐん上がってるので、すぐ来てください。病院へ連れてって。」

打ち合わせ中止。

私は帰路、ぼんやり考えていました。仏壇置き場。そんなの必要ない、ってことなのかな?

 

先日、再度打ち合わせをしに訪問し、その事を奥さまに伝えると、

「実は私も、そうかと思ってたの。」



そして本日、ご契約をいただきました。奥さまにご署名・ご捺印いただく前に、遺影の前で、契約書をお見せし、工事内容を一つ一つ説明し、金額をお知らせし、工事日程などもお知らせしました。

お子さんは二人とも私たちと同じ部屋にいました。

「お茶入れますね。」

雑談すること数十分。

・・・・・・特に変わったことはありません。

「・・・・・・・・・・大丈夫みたいですね。」

「そうみたいね。そんじゃハンコ押しますね~。塩原さん、主人の代わりに。お願いしますね。他の人じゃだめだから。」

帰路、どしゃ降りの中、亡き I さんを偲びつつ、責任の重さを噛みしめました。

途中、岐阜~長野の県境で、高速道路上大きな事故がありました。その横を、ハンドルをしっかり持って通り過ぎます。

人の寿命よりも家の寿命は長い、というこれまで頭では理解していたことではありますが、そのことがどういうことなのか、そんなことも考えつつ。


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