倉庫の新築が完成しました

暖かいような、寒いような、目がかゆいような、微熱があるような、、、あわただしい年度末を過ごしております。3月はアパートの改修工事や懇意にしている運送業者さん(寿昇運)の倉庫の新築や、5月からスタートする新築住宅2件の設計、築100年ほどの古民家改修の設計などに明け暮れました。昨年から製造販売している薪用ラック=グリーンラックも20台ほどが出荷されました。

あっという間の3月でしたが、基本的には1人で運営していますので、誠に忙しく、昼間は現場や役所、グリーンラックの出荷作業、お施主さんや業者と打ち合わせをし、夕方帰社し、毎日夜更けまで事務所でひとり黙々とパソコンをいじっています。

設計事務所とはいえ、そのほとんどはクリエイティブな作業ではなく、大半は書類をつくったり、人としゃべっていることが多いわけです。世話人といった感です。

それでもまったくもってゼロの状況から、誰もが見ることができる建物というモノを生み出すということは、大変に価値のある、やりがいのある仕事だと誇りに思っています。設計する、ということは、行き当たりばったりにさせない、ということに言い換えることができます。つくる前にあらかじめ誰にでもわかるようにする、ということでしょうか。



倉庫とはいえ、なんとなく自分らしいスタイルになったような気持ちです。

外観にすこしでも木質感があると、印象がとてもまろやかに、いい感じになりますね。

 

 

 



外観はすっきりでも、室内は造作たなの嵐です。

運送業は、タイヤチェーンやその他部品をはじめ梱包用具や洗車道具など、かなりたくさんの備品収納が必要なのですね。

どこに何を置くか、かなりきちんと計画されました。

 

 

 

 



大工のオニロクこと藤田さんです。

こうしたカスタマイズたなを造るのがとても上手です。

 

 

 

 



昨年、薪小屋(グリーンラックをカスタマイズ)を設置させていただいた穂高のHさんにも、「グリーンラックをさらに追加したい!」のご相談をいただきました。

 

 

 

 



薪の収集が上手な方で、仲間と共に山に行き、自ら伐採して自己調達率100%だそうです。マキワリ作業も全て斧で手割りだとか。頭が下がります。

 

 

 

 



最近事務机に向かっていることが多く、また重度の花粉症ということもあり、なかなか外に出る機会が少なかったのですが、今日はあちこちの現場やOB宅を訪問し、その道中でいたるところに春を感じることが出来ました。

明日で3月も終わり。4月は、秋から工事開始予定の富山県F様住宅新築工事の本格設計と、同じく秋スタートの松本市I様喫茶店の設計が本格化します。工事は、軽井沢K様ログハウス改修工事、松本市アパート改修3軒同時リフォームを担当します。早く花粉シーズンが終わってほしい・・・。

 

 

台本完成

5月着工予定のN様邸の台本が出来上がりました。台本とはつまり設計図のことなのですが、私はかねてより「家づくりは家族の物語の一部を切り取ったもの」だと感じています。単なる住宅の販売を目的としない注文住宅の場合、そこに暮らす家族が主人公であり、これまでのさまざまな経験や思想が反映され、将来の予測や希望を多分に盛り込むべきだと思います。

設計図は、そんなことが積み重なった、ワクワクするようなセリフや場面が用意されていいのではないでしょうか。



「しおはらさんに似てるよね~」と言っていただいたこの品も、Nさんから頂戴しました。同い年ということもあり、最初こそお互いかしこまっていましたが、最近はいい意味でフランクに打ち合わせをさせていただいております。

 

 

 



奥さまのご実家が岩手県ということで、先週帰郷され、被災地の各地を訪問、現地の状況を写真を交えてレポートいただきました。

瓦礫の多くは撤去されたものの、復興とは程遠い現状を写真から見ることが出来ました。現地には、砂をかみしめながら、懸命に踏ん場っている多くの同じ日本人がいます。

そんな方々が作ったものをどんどん生活の中にとりいれていきましょう!(飲料・食品は特に!)

 

 



台本は設計図という形で一応の完成をみました。この台本をベースに、各職人に演じてもらい、時には加筆修正を加え、主人公を盛り立てます。私はいわば演出家のような存在です。これをご覧になっている方は、観覧者ということになるでしょう。ぜひご自身の台本を造る際の参考にしてみてください。

 

 



そういえば、1か月ほど前の打ち合わせの際には、盛岡名物じゃじゃ麺なるものを御馳走になりました。

みなさん知ってます?このうどんともパスタともいえぬ姿かたち。見た目はあんまり・・・ではありますが、これがどうして、かなりイケてます。

 

 



ふにゃふにゃに茹でたうどんに、肉味噌、ねぎ、キュウリを混ぜ合わせ、ぐちゃぐちゃにかきまぜていただく、これがスタンダード。食べ終わった後さらにその器に、卵を割り入れ、肉味噌を加え、茹で汁を注いで、スープを作成。茹で汁を再利用するあたり、まるでそばのような締め方をするのです。

 

 

さてさて今回の物語。今後も随時レポートしていきますが、着工はゴールデン明けですが、いまどきあまりやらないとされる上棟時の”餅まき”を6/1に行う予定です。乞うご期待!

 

長野県・H25年度_環の住まい助成金情報

昨日長野県のホームページにて、平成25年度「信州ふるさと環の住まい助成金」についての情報が正式に公開されました。今年も50万円ですが、認定低炭素住宅との併用は+30万円です。

長野県のホームページはこちら↓

http://www.pref.nagano.lg.jp/jyuutaku/jyuutaku/kikaku/wanosumai/wanosumai.htm

認定低炭素住宅についてのホームページ(技術情報)はこちら↓

http://www.kenken.go.jp/becc/index.html

 

4/1から募集開始!ってもうすぐじゃないかぁ~!と思いながらも、現在設計作業をさせているお客様に順次ご案内して参ります。認定低炭素住宅もそれほどハードルは高くないので、併用をおすすめしていこうと考えています。住宅ローンを組む人には、残高の1%が所得税から控除されちゃうというのだからすごい!2000万残の人は20万円なりぃ~!

長野県産材を使った木造住宅、断熱材もりもりの省エネ住宅や薪ストーブなどの自然エネルギー活用を推進している弊社としては、同調する部分が多々あるのですが、どうもこの先着順というのはどうもやりきれない思いです。



CASBEE評価やQ値計算(μ値計算)、U値計算、木造の構造計算など専門的なスキルが必要ですが、良心価格で対応させていただきます。詳しくはお問い合わせください。

 

 

 

松本の城山公園

月並みですが、春を感じています。



すこし時間にゆとりがあったので、松本市の城山公園に行ってきました。

あと3週間もすればサクラが咲き乱れます。

近くの高校に通っていたこともあり、とても好きな場所で、実はちょくちょく来ています。

 



園内の樹が、あちこちで切られていました。どうも松枯れ被害がここにも及んでしまった模様です。

眼下に安曇野地方が広がり、その先に北アルプスを望めます。

 

 

 



松の木の外皮は独特の趣がありますね。直径60cmほどにもなる木ですが病気になってしまったとはいえ、なんとも悲痛な光景です。

 

 

 

 



数えはしませんでしたが、年輪からすると相当のものです。薪ストーブや陶芸用の薪になってくれればまだしも、ご病気になってしまったのであればそれも難しいんでしょうね。

 

 

 



玉切りされたものは殺虫剤(燻煙)と共に、このようにビニールにくるまれています。

伐採作業は知り合いでもある奥原造園さんのようです。

 

 

 



城山公園には、おばけきのこがあったり、

 

 

 

 

 

 

 



石でできた椅子(いわさきちひろ)があったりします。

 

 

 

 

 



シメにはやっぱり展望台です。

美しい山並みと、日本海を目指して流れる奈良井川(ならいがわ)。

ちょっと先で、梓川(あずさがわ)と合流して、呼び名が犀川(さいがわ)となります。

 

 



ここでは山の名称が分るのですが、なかなかいつも覚えられません。

 

 

 

 

 



桜が咲いたころ、また来ようと思います。

 

 

 

 

 

基本設計

出会いは数年前に新築をさせていただいた方のご紹介でした。初めてお目に掛かった時、建て替えをすべきか、現状のままである程度のリフォームで済ませてしまうか、いったいどうしたらよいか、だいぶお悩みであったと思います。以下初対面の際にお聞きしたことです。

F様ヒアリング

2013.01.20 14:00-16:00

紹介者・立会者 K様(OB)

預かり品=図面一式(茶封筒入り)

 

■既存専用住宅・倉庫

1、昭和46年新築 木造一部鉄骨造(築42年)~図面あり

2、30年前に一部解体し仏間を含む2階建てを増築

3、建築時期不明だが、敷地東北に2階建て倉庫あり

※敷地建物共、すべて100%F様の所有権

 

■地域特性等

・積雪は50~60cmあるのが、この時期の通例。

・非常に重い雪。湿度が高い

・夏も熱い。湿度が高い。

・地震は少ない

・この土地は昔田んぼだった

 

■居住者情報

・母(S16年生)今年72歳 一人暮らし

 

※長男(43才)京都在住 独身~なかなか帰省できない

※長女     K様の奥様 子供2人

※次男     福井市内在住 既婚 子供3人

 

工事期間中は近くの別宅があるので、一時的に引っ越し

 

■動機

・鉄骨柱脚にサビ

・しろあり発生(一部)

・屋根裏に生物が・・・

これらにより、地元の大工さんより、改修〇〇〇〇万の見積もりが出ている

■全体予算

・全てで2000万以内

・地盤改良必要か?

・解体費

・外構(北フェンス)

 

※瓦屋根2年前に載せ替えした。美品かつ高価な物なら流用か

 

■要望

・残す部分の2階に湯~ガス配管あり。瞬間湯沸かし器

・平屋

・キッチンは当然いる

・新築部に客間は不要

・11/末までに入居 12月は降雪

・分離発注

 



築42年の住宅+築30年の増築部がL字型に配置されています。増築部は、この地方の伝統的なつくりです。

写真は今年2月3日に初めて訪問した写真ですが、この時期にしては大変雪が少ないとのこと。

 

 



雨戸のように見える外壁は、あくまで外壁で、容易に取り換えができるように取り外しが簡単にできるようになっています。雪で家のまわりが埋まってしまうことを想定したつくりです。

 

 

 



この30年前の立派なつくりの方は客間として残し、右側の平屋部分を解体して改築する、という方向で検討しています。

ご紹介していただいたOBのKさんは、当然高断熱の家に住んでいるので、この寒い家に暮らす母親の身体的負担を思いやっての改築相談でした。

 



30年前増築した部分には、この地方の特産である木彫りがランマという形で建物に取り入れられています。1枚板から削り出されるそれはまさに職人技。到底真似ができない代物です。

 

 

 



玄関の式台には、巾90cmほどの1枚板が!

引戸にも一枚板が!

生つばものですが、当然この部分は解体せずに残します。

 

 



建て替え部分のファーストプランです。所有物の多さや要求が盛りだくさんで、けっこうな規模になってしまいました。

わたしの場合、1stプランはおおむねいつもこのような手書きプランです。

 

 



このプランを元に打ち合わせをし、外観イメージをパース化します。概算の見積書も合わせて提出し、現実性を帯びていきます。

 

 


3次元CADのいいところは、こうした図面もあまり時間を掛けなくとも作成できることです。

 

 

 



先日、今秋の完成に向けて設計契約をいただきました。今後改めて基本設計を練り直ししていきます。解体せずに残す部分との意匠的なバランスをどう取っていくかがポイントになっていくと感じています。

 

倉庫の新築@塩尻市

今月に入って早々から、塩尻市で倉庫の新築工事を行っております。建築主の寿昇運(ことぶきしょううん)さんは、長野県ではとっても評判のいい運送屋さんで、この時期は引越しやら配送で大変お忙しいとのこと。しかもこの寿昇運さん、すべてのトラックの燃料がバイオディーゼルだというからすごい!よくある、「環境に配慮して、わが社は2台のハイブリッド車をもちあわせています」なんて半端ではありません。しかも料金設定もかなり良心的です。



引越しを、「レンタカーを借りて自分たち家族でやって、なんとか節約したい」なんて思っている方は要チェック!この場合でも、レンタカー台+ガソリン代は当然必要なので、手際の良さや大きな家具の移動の大変さを思えば「ことれんサービス」は絶対オトクです!

 

 



商売繁盛で、トラックにまつわるいろいろな資材の置き場が手狭になり、7坪程の倉庫を新築したい、というご希望をいただきました。数社の相見積りとなりましたが、幸運にもお仕事を担当させていただくことになりました。

 

 

 

 

 



7坪の倉庫とはいえ、確認申請が必要です。2月下旬に無事許可が下り、3/1着工と相成りました。

まずは基礎工事です。アスファルトをカッターで切っています。

 

 

 



倉庫だからといって、簡単なつくりにはできません!大事な工具や資材を預かるものになるので、地震や台風で簡単に壊れてしまってはなりません。ならぬものはならぬのです。

 

 

 



基礎工事は無事10日間ほどで終了し、12日には建て方となりました。

大工は毎度おなじみ、伊那の工房鬼六藤田さんです

 

 

 



土台と基礎の密着部にはEPDMパッキンをつけます。

 

 

 

 

 

 



天気にも恵まれました。木造の加工は、藤田さん自ら手刻みです。

精度もバッチリで、機械加工ができない、方杖と呼ばれる斜めの部材もきれいに加工できています。

 

 

 



2時間ほどで、組みあがりました。塩原も少し手伝いすることになりました。

 

 

 

 

 



その後、建物全体のゆがみを矯正するために、角パイプの中に下げ振り(さげふり)と呼ばれる、錘(おもり)が糸でぶらさっがっている専用の道具を用いて柱の垂直を見ていきます。

 

 

 

 

 

 



原始的な手法ですが、木造の住宅では欠かせない道具です。「もうちょい押し!」、「あっ、押しすぎ!ちょい引き!」などという掛け声を掛けながら2名で行う作業です。

 

 

 

 

 



押したり引いたりする道具も当然あります。

この斜めに渡されている筋違い(すじかい)のようなシルバー色の棒がソレです。

 

 

 

 

 



この部分を回すと、長さが伸びチジミする棒で、建物の上部(梁)を押したり引いたりすることで、全体のゆがみを調整します。大工さんの間では、屋起こし(やおこし)とか屋直し(やなおし)と呼ばれている作業工程です。

ロープやワイヤーで行うケースもしばしばです。

 

 

 

 



1人が下げ振りを見ながら、1人がぐりぐり回し、「そこ!」とという掛け声とともに、仮の筋違いを止めつけます。

 

 

 

 



昨日は大変な強風でしたが、折半(せっぱん)屋根葺き工事と、タイベックと呼ばれる防風シートが無事完了。だいぶ形になってきました。

「やっぱプロだな~」と感じ入ってしまいました。

 

 

 



今日は一転してとても寒い一日です。

藤田さん、木を触っているととても機嫌がいいようです。ちなみに体は大きいのですが、意外と小食です(笑)

 

 

 

 



外観の予想パースです。

余談ですが、わたし今年は花粉症の症状が大変軽いです。まだ薬なしで過ごせています。体質変わったのかな?

 

 



近所になじみの焼肉屋さん「慶福(けいふく)」さんがあり、ランチを共にしました。このボリュームにケイフクしました!サラダ、スープ、お新香、豚丼大盛り、コーヒーがついて¥900!ここの店長も肉のプロです!しかも美味い!!

小食の藤田さん、これを平らげることができるか!?

 

 

 

 

追悼

明日は3.11です。改めまして被災に遭われた方にお見舞い申し上げます。

もう、あれから2年になるのですね。私は当時無職で、携帯電話のドコモショップにいました。解約の手続きをしている最中に、突然大きな揺れを感じました。ショップには大画面のテレビが壁に掛けてあったのですが、すぐさま地震情報に番組が切り替わり、東北地方で震度7という速報が出ました。東北で起こった地震が、ここ長野市でこんなにも揺れるものかと、震源地を疑いましたが、家族や東北地方に住んでいるOBの方、あちらにいるだろう知り合いの顔が思い浮かびました。当然携帯電話の解約手続きは中止。すぐさま自宅に戻りました。

すぐに家族とは連絡が取れ、無事を確認しましたが、先ず情報を得ようと思い、テレビにかじりつきました。当時私は諸事情により家族とは別居し、一人で自宅にいました。各地の監視用カメラから映し出される様子によって、津波が防波堤を超え、街が水没し、自動車や建物が流され・・・、その惨状をライブで傍観していました。

一人涙が止まらず、何とも整理のつかない心境でした。

その後も続々と入ってくるニュースに、「あぁ」とか、「ありゃぁ~」などとつぶやいていたと思います。

また、その日の深夜に、長野市からも距離の近い栄村というところでも相当大きな地震がありました。私の家もかなり揺れました。揺れがくる数分前から、「コンコンコン」という原因不明の音がしていました。(地面に10m以上打ってある建物下の鋼管杭が共鳴していた?)

草木も眠る丑三つ時でしたが、東京で帰宅困難者になっていた兄と、松本市の両親から安否確認の電話がありました。

この日、日本中が大混乱していたと思います。その時自分自身の置かれている状況もあってか、もう何もできない、何が起きても仕方ないなぁ、と開き直った心情で、いろいろなことをぼんやり考えていました。

テレビでは、何もかもを失った人々の声、何百人何千人という亡くなった方のリストが読み上げられ、福島原発の惨状、放射能被害についての観測や評論、津波が押し寄せた時の録画映像などが、繰り返し放送されていました。

そんな状況で私は、生きる勇気をもらったように思います。「自分の状況はぜんぜんマシだ。もう一回ゼロからやってみよう」数日後、そんな心境に変わっていったのです。

 

あれから2年。仕事を通じて、たくさんの方との出会いや支えに恵まれました。いまこうしていられるのも、あの巨大地震があったればこそだと思っています。

被災地の復興を、まだまだ直接的にお手伝いできていませんが、電力問題に直結する省エネルギー住宅の普及、薪ストーブなど自然エネルギーの更なる利用など、日本というわが母国が、これからもずっと続いていけるような社会・子供たち孫たちが安心して暮らしていける社会になるよう、設計や建築という仕事を通じて目指していきたいと思います。

亡くなった方々には哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。今年40歳を迎えるわが身ですが、一身をこのことにすべて捧げていこうと思っています。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

出会い~調査~1st PLAN

安曇野市に住むNさんとの出会いは、数年に新築したお客様からの紹介でした。昨年の秋に初めてお会いしました。お住まいは安曇野・穂高の山間部で標高は約1000mです。出身は北海道で、奥さま故郷の岩手県からお仕事の関係で移住され、築数十年の鉄筋コンクリート造社員寮的アパートにお住まいでした。

ご夫婦共に寒いところ出身ということで、冬暖かい家、木がたくさん使われている家、信州安曇野の山々が望める家などのご希望を胸に、数社のハウスメーカー営業マンと接触し、雑誌などで知識を蓄え、同時に土地を探してらっしゃいました。

そんな時、奥様が通う手芸教室の先生および場所が、私のOBの方で、以前に担当させていただいた穂高の木の家だったのです。

最初にお会いした時に、購入を検討している具体的な場所を見させていただきました。よもやま雑談の後、土地購入~引越しまでの総予算を教えていただき、「その予算内で希望する建物が建てられるだろうか?」、「手芸の先生の家をひとまわり小さくしたような感じでいいので、断熱性能は落とさず、冬暖かい暮らしがしたい」という宿題をいただきました。

 



目星をつけた土地は、新しく造成された市中で、見晴らしもすこぶる良く、値段も手ごろです。すでに不動産屋さんには口頭で購入の意思があることを伝え、数件のハウスメーカーと建物の打合せを重ねたが、どうもピンとこない。そんなとき、手芸の先生と出会ったそうです。

 

 



11月22日。そう、いい夫婦の日です。すでにお隣では着工開始のようで、某メーカーさんが基礎工事のための準備をしていました。

それとなく地盤の状況やどんな建主さんかをお聞きしました。

 

 

以下、最初にお目に掛かった時のメモです。

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N様初対面・現地調査   2012・11・22(木)13:30~

記録:しおはら住宅デザイン設計 塩原 真貴(一級建築士)

◆基本データ

おなまえ 生年月日 (〇歳)

休日は不定期。平日が休みの時もたまにある。

◆ヒアリング

・奥さんがSさんのお友達。S様邸の印象が良かったため、紹介。

・新築の動機~学校が遠い(穂高北小学校)。将来的な見通し。下の子が来年保育園へ。

・家族構成~夫婦(夫〇歳・妻 専業主婦)、子供2名。親との同居なし。4人家族のための専用住宅。

・気に入った土地(造成地)がある。〇〇〇不動産~建築条件なし。75坪600万+下水負担金60万=660万。手付金など保全措置はまだ。

安曇野市穂高有明

・〇〇〇ハウスで話を進めつつあった。

・ご主人の出身は札幌。奥さまは岩手。

・冬とても寒く、暖かい家にしたい。高断熱仕様。

・建築時期は特に急いでいない。(来年秋までかな?)時間をかけてよろしい。

・建物1300万くらいか。住宅ローン利用。決まった銀行は特にない。土地込みで2000万

・仕事上、ずっと住めないかもしれない。転売も有り得る。(あまり個性が強くないように気を付けたい)。

・コンパクトな家でよい。ウッドデッキはぜひ欲しい。キャンプ用品多し。外倉庫は必須(ヨド物置系でよい)タイヤ、園芸用品etc.

・南西の開けた視界、北西の有明山など眺望を活かした間取り。

・駐車場は2台+1台。西側か。キッチンは東。

・吹き抜けがぜひ欲しい。2階に物干しスペースとしてのホールが欲しい。

・1階の客間があればうれしい。普段は建具を解放できるように。

・2階のトイレは不要。

・リビングからの階段がよい。ストレート階段でもOK。子供の様子分るよう。

・子供部屋は2部屋。4~4畳半+収納 が2部屋でよい。子供部屋に籠らせたくない。

・寝室は2階西か。有明山を見たい。

・本棚たくさんほしい。収納を重視。

・2階に屋根付のベランダが欲しい。南西が希望。

・食事は畳か?床に直接座ってかな?

・玄関に収納をたっぷり欲しい。スキー、ジャンパー、靴。シュークローク?

・奥さま、ミシンが趣味。LDのどこかで机(カウンター)のあるスペース欲しい。

・S邸のカウンターは良い。そこでパソコンや勉強ができそう。

・外構もやれればやりたい。芝生。庭でBBQしたい。家庭菜園も。(別途費用でよい)

・薪ストーブは遠慮。薪の準備大変そう。パネルヒーターがよい。

 

◆今後の企画の進め方

① 当方にて、ヒアリング・調査を踏まえ、計画提案・概算見積を示す。土地が別の人の手に渡らないように、口頭で押さえてもらう。時間的に無理ならばできるだけ少額での手付金を支払い、予約申し込みをする。解除条件に注意してください。

② 銀行にて融資の相談。仮申し込みをして融資可能額の把握をする。(融資可能額をさぐる目的)

③ 融資金額と自己資金から、建物の規模や予算を決め、進められそうならば、土地の購入を決断する。土地購入から工事着工期間は出来るだけ短い方がお得

④ ③の企画提示。スケジュール確認。合意なら{設計監理業務委託契約を締結}

⑤ マスタースケジュールに則り、基本プランの検討に入る。

※平成25年11月を竣工で考えると、逆算で、工事着工はお盆の前後。工事準備期間は1~1.5か月必要。設計製図期間1か月→2月末~3月上旬に設計契約が妥当。

※住宅関連の助成や新制度、消費税の動きなど、現段階ではかなり不透明なことも多いのですが、消費税率のアップは避けられないとの見方が強く、建築業界は駆け込みが予測されています。木材や建材も値上がり傾向です。

 

◆候補地の調査

・候補地をご主人の同行で下見した。西隣りがちょうど着工寸前。東にダイニング・キッチン・パントリーが配置される。境界からの離れは約1.5m。30歳くらいの若い夫婦。エコキュート、勝手口ドアが1階東にあるので、注意が必要。地盤は割と良いらしい。改良工事の判定は出なかった(工事人談)

・南側の隣家は平屋。陽当たり良好。東は田園。北側道路。600万は安いと感じた。

・敷地北東角に消火栓がある。

・近隣は新しく、造成地なので、同世代が集中しそう。学校に至近でよい。

※写真撮影

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数日後、安曇野市役所などで法令調査などを行いました。

穂高は景観を守るための条例があり、道路や隣地境界からのセットバックや、外観意匠上、素材や色に制約があります。

 

 



予算とご要望を勘案して作成した手書きプランその①です。敷地の使い方や、ボリュームを理解してもらうためのものです。これまでの経験を踏まえてのものになるので、金額もざくっとしたものは伝えられるものでなくてはなりません。

私は、この段階では、ほとんどが手書きです。費用もここまではいただいておりません。

 

 

 

 



直接お目に掛かって、感想やご意見を伺った後、再度手書きのプランその②を作成しました。

この段階で±5%程度の精度で見積りをします。

 

 

 



住宅を建てる場合、建築工事費や設計費とは別に、さまざまな費用がかかります。それら別途費用を、できるだけ細かく拾いだし、コストを総合的に把握していただきます。

Nさんも資金計画を練っていることでしょう。設計初期はどうしてもオカネのことばかりになります。

 

 



希望される断熱性能や装備を盛り込むと、必然的に建物のおおよその規模が決まります。予算があるからです。

当然プランニングは、予算との綱引きとなります。

更なる希望を取り入れたもので提示しました。

 

Nさんは土地購入を決意!わたくしとの設計契約も合意に至りました。ご縁があったということです。さぁ、ここからが本当の設計作業になります。

 



自由設計の住宅プランはとても難しいと言われます。建築主は十人十色で、目に見える形で商品化されたものではなく、かつイメージがなかなか共有できないからでしょう。私は、出来るだけこのようなスケッチパースで建築主とイメージを共有できるようにしています。

 

 



そして打ち合わせをするたびに新たな発見があり、アイデアがあり、図面はメモで一杯になります。

この過程が住宅設計の一番の楽しみであり、納得度を高めるために必要な過程だと思っています。

 

 



設計の打ち合わせというと、とかく間取りやキッチンやユニットバスなどの設備機器の話が中心になりがちですが、断熱性能の程度も、その建築コストと相まって、ハッキリ示していくものでなくてはなりません。どこに予算を使うか。どう使うか、それは建築主に判断してもらわなければなりません。暖房に費やす灯油や電気は年間にしていったいいくらかかるのか!?それらがはっきりしない設計はあり得ないと思っています。ランニングコストのことを考えない設計は無意味です。

 



次世代省エネ基準というものがあります。この基準をクリアしている住宅を”高断熱高気密住宅”と呼んでいるのですが、わたしはこの基準をどのくらい超えているのかを非常に気にしながら設計しています。断熱材の厚さはもちろん、窓の位置やガラスの大きさ、種類など、ちょっとしたことがランニングコストに大きく影響します。

 



とかく間取りのパズルゲームやデザインの競い合いになってしまう基本プラン設計ですが、こうしたランニングコストの試算や、コストパフォーマンス重要視型の予算配分を静かに行っています。ここまでで、キッチンやトイレ、ユニットバスなどのお話しはなんにもしてません(笑)

 

 



ほとんどのハウスメーカーさんは、このような3Dパースを一発目に見せるようですが、私の場合、結構後回しになっちゃいます。

 

住宅設計の本質は、外観や間取りや予算だけではな、そこに暮らす人とできるだけイメージを共有し、いかにして予算配分に納得してもらうか、だと考えています。打合せの回数もここまでで5回。コミュニケーションがとっても大事です。メールのやりとりも頻繁です。きっといい家になるでしょう。

 

アパートの改修



3月は忙しい季節です。日本において、実務上の節目はやはり年度末。人も物も動くのですから、当たり前と言えば当たり前ですが。

1月から工事を行っていた鉄筋コンクリート造の賃貸アパート改修工事が終わりました。

 

 



床をすべて張り替えました。

以前ブログでも紹介しましたが、木造の床組構造材がすべて腐っており、壁はそのままで、床部材をすべて更新するという、いわばハナレワザの仕事でした。

 

 

 



しかし、結果的に壁クロスの下地である石膏ボードは、床下からの気流もあって、すでに床から20~30cm付近はボロボロ。とてもクロスを張り替えられる状況ではありません。苦肉の策ではあったのですが、腰板を貼ることにしました。

 

 

 



畳が敷いてあった和室も、そのなごりを残しつつ、フローリング貼りの洋室へ。天井は木の練付け合板をそのままに、ホワイトの塗装をしました。

 

 

 

 



この腰壁(パイン無垢材)が効いたのか、不動産屋さんの評価ポイントも高く、入居者はすぐに決まりました。聞けば福島県の方だとか。シングルガラス入りのアルミサッシにも樹脂枠+ペアガラスの、いわゆる内窓を2重に設けています。

 

 

 



アパートとはいえ、そこには人が住み、食事をし、睡眠をとり、いろいろな話で盛り上がったり、時には喧嘩もするわけです。帰る場所になるのです。

予算は当然限られますが、そんなことを思いつつ、どんな人がここに暮らすのか想像しながらの改修工事でした。3月には、また3つの家族の方が退去するようです。新天地でのご活躍をお祈りしながら、再びそこに暮らす方々のために、4月には改修工事3件分、いつものように頑張ります!